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五十肩の症状は、発症してから「急性期」「慢性期」「回復期」という経過をたどります。
3期それぞれの特徴や対処法については、別記事で紹介しています。
今回はそのうちの「急性期」においてよくある、就寝時に関する悩みについてです。
五十肩の第一期である急性期は、肩まわりが痛くて寝れないことが多くあります。
そんなお悩みを抱える方のために、少しでも楽に寝られる姿勢、体勢などを紹介していきたいと思います。
急性期の睡眠中の悩み
急性期の症状は、肩関節を動かすことはできるものの、動かすたびに強い痛みを感じるという特徴があります。
あるいは、炎症がひどい時には動かしていないのに痛いということもあります。
期間は短くて数日、長くて数週間ほどです。
それほど長い期間ではないので、何とか安静にして乗り切れればいいのですが、なかなかそう簡単にはいきません。
起きていて活動している間は、肩関節に負荷をかけないようにと意識することができます。
しかし寝ている間となると、そうもいきません。
常に姿勢をコントロールし続けることもできませんし、また寝ている時と起きている時では重力のかかり方も違っています。
急性期の睡眠中の悩みは、
- いつもの寝方で寝ようとすると肩が痛む
- 痛くない寝姿勢をあれこれ考えていて眠れない
- 痛みで目が覚めてしまう
- 寝ている間に痛くならないか心配で眠れない
といったものです。
こういった悩みを解決するにはどうしたらいいのでしょうか?
夜間痛の原因と痛みを抑えて寝る方法
肩周辺の筋力や柔軟性が低下すると、肩周りの動作に伴って炎症が起こります。
これが五十肩の痛みの元になります。
炎症のある状態で筋肉が引き延ばされたり、外から力が加えられたりすると痛みを引き起こすことに。
夜寝るときにこうした痛みが発生することを「夜間痛」と言います。
夜間痛の痛みを軽減する極意は、「痛くないときの体の位置関係を維持すること」です。
では具体的に見ていきましょう。
五十肩の寝方1.仰向けの場合
仰向けで寝るという方は多いと思いますが、仰向けで寝ると肩周辺にはどのような力がかかるでしょうか?
それを知るには、まっすぐ立った状態で壁に背をあててみると分かりやすいです。
気をつけの姿勢で壁に背中を付けると、肩は壁に接することなく、肩甲骨が壁に触れると思います。
つまり平らなベッドに背を付けて寝る場合、肩甲骨が押し上げられて、逆に肩は重力で押し下げられるようになります。
この変化により、肩関節周辺が歪み、筋肉が押されたり引き延ばされたりして痛みとなります。
したがって、その歪みを起こさないように姿勢をサポートすることが対策になると言えます。
仰向けで寝る場合の対策方法
1つの方法としては、薄いクッションや畳んだバスタオルなどを、肩や肘の下に入れてサポートすることです。
肩から肘にかけての高さを調節することで、「痛くないときの位置関係」を保つことができるのです。
腕は伸ばしているよりも、肘を曲げて、手を胸やお腹の上に置いていたほうがベターです。
そうすることで、より肩周辺にかかる負担を減らすことができます。
五十肩の寝方2.横向きの場合
横向きの場合、左右どちらかの肩を下にするわけですが、もちろん下にするのは痛くない方の肩ですね。
痛い方を下にしたらそれこそ睡眠どころではありませんからね。
なので痛い方の肩は上にくるわけですが、そうすると肩にはどのような力がかかってくるでしょうか?
通常横向きで寝る場合、上にきた腕は体の前方に投げ出すようなかっこうになります。
肘は曲がっていたり伸びていたりですが、いずれにしてもこの前方にある腕の重みによって、肩関節にはいつもと違う力がかかり、痛みが発生します。
腕の重みで痛みが発生するので、この場合も腕の落ち込みをサポートしてあげることが対策になります。
横向きで寝る場合の対策方法
一番良いのはずばり「抱き枕」です。
大きめの抱き枕に腕の重みを持たせることで、肩にかかる負担を軽くすることができるからです。
抱き枕がなければそれに相当するもので代用してください。
大きなクッションがあればそれを、なければ予備の掛け布団を丸めて使うのも良いですね。
五十肩の寝方3.枕の高さにも注意
枕の高さにも注意が必要です。
例えば仰向けで寝るには、それほど枕の高さは必要ありません。
必要以上に枕が高ければ、それだけ体の位置関係がゆがめてしまうことになります。
これは横向きでも同じことが言えますが、枕が高すぎたり低すぎたりするのは夜間痛を起こす原因になります。
私は以前ドイツ在住中に、枕のことで医療関係者からアドバイスを受けたことがあります。
日本の枕は横長の長方形が主流ですよね?
ところがドイツの場合は、大きな正方形のほうがよりポピュラーなんです。
使い方としては、ふかふかの大きな正方形の枕に肩ごと乗せてしまいます。
日本では「枕は頭を乗せるもの」ですが、ドイツでは肩ごと乗せてしまう人が多いようです。
その医療関係者いわく、そうやって肩から頭にかけて緩やかなスロープを作ってあげたほうが体への負担が小さくなるのだそうです。
これは五十肩の対策だけではなく、睡眠の質を向上させるためにもメリットがあります。
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寝る前にできる対策は?
寝る前の対策として有効なのは痛み止めの薬を飲むことです。
急性期に痛みがひどければ整形外科などを受診し、必要に応じて痛み止めを処方してもらうこともできます。
夜間痛による睡眠障害に陥る前に、とりあえず痛みを抑えてしまうというのも1つの手です。
また、患部に湿布などの消炎鎮痛剤を貼って寝るという方もいらっしゃるかもしれませんが、湿布を使う場合、寝る前にははがすようにしたほうが無難です。
長時間貼りっぱなしにしておくと皮膚がかぶれてしまうことが多く、かぶれてしまうと翌日以降に湿布を貼れない状態になってしまったりします。
それに湿布の有効成分は2,3時間程度でほぼ出切ってしまうので、それ以上貼っていてもあまり効果はありません。
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五十肩の夜間痛には寝方と寝る前の工夫で対策しよう
五十肩の夜間痛の原因や、対策として痛くない寝方などを整理してみました。
いかがだったでしょうか?
この記事をご覧の方々は、おそらく五十肩の初期で、睡眠に悩みを抱えている方が多いと思います。
その症状が早く改善し、快適な睡眠を得られることを心よりお祈りいたします。
夜間痛は、横になった姿勢でいつもと違う力が肩周辺にかかることで、筋肉が引き延ばされたり押しつぶされたりすることで痛みを発します。
対策の方針としては、痛くないときの体の位置関係を維持するようにします。
- 仰向けの場合…薄いクッションや畳んだバスタオルなどを肩や肘の下に入れて、肩から肘にかけての高さを調節する。
- 横向きの場合…抱き枕などに腕の重みを持たせることで、肩にかかる負担を軽くする。
睡眠は食事同様、健康的な生活の基本です。
痛みや不安には早期に対策して、問題が大きくなる前に対処しましょう。
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