【連載】痛み止めや湿布を使うタイミングを考える〜可塑性(かそせい)〜

今回の投稿では、ありふれた存在である「湿布」や「痛み止め」をどう使うか?という事をテーマにしてお話を進めていきたいと思います。今回、抑える言葉は「可塑性(かそせい)」という言葉です。

前回の記事>>【連載】「怪我した反対側も痛くなった!」その原因を神経の知識から解説します!

 

痛み止め、湿布を簡単に知ってみましょう

まず、身体に痛みがある時、それが慢性的であるか、急性的であるかは別として、痛み止めや湿布を使うというのが共通の認識であるかと思います。最近では処方薬だけでなく、ドラッグストアなどでも簡単に、しかも多種多様な商品を手に入れられるようになりました。

これらの商品ですが、大きく分けて2種類に分類することが出来ます。以下に簡単な分類を載せておきます。

 

NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)

痛みや熱がある時に使われる一般的な薬です。世界的にも最も使用頻度が高いと言われています。アスピリン、インドメタシン、イブプロフェン、ジクロフェナクなどといった種類があります。鎮痛の目的だけでなく、種類によっては心筋梗塞の予防などにも用いられています。

 

ステロイド性抗炎症薬

「ステロイド」は本来、生物が合成する脂溶性物質の事を指し、人の身体においてはコレステロールや胆汁酸といった物質がステロイドにあたります。ちなみにこれらで構成されているホルモンをステロイドホルモンといい、エストロゲンなど性ホルモンなどがこの分類に当たります。

人の身体には、鎮痛に関わるようなステロイドホルモンが存在し、その作用を人工的に作り出したのが、このステロイド性抗炎症薬にあたります。プレドニゾロンやデキサメサゾンなどといった種類が存在します。

 

アラキドン酸カスケード

もう少しだけ、小難しい話題が続いてしまいますが、ご容赦下さい。炎症を起こすような刺激がきっかけとなって、身体の中では、その炎症を更に進めていこうという働きが進んでいきます。

それがこの「アラキドン酸カスケード」という反応です。「カスケード」は小さい滝という意味があって、一つの反応が起こり、それが刺激となってまた次の反応へ…というように滝を水が流れていくように反応が進んでいくために、この名前がつけられています。

このアラキドン酸カスケードが進んでいくと、炎症反応が進んでいき、腫れや痛みが強くなっていくわけです。

 

湿布や痛み止めは、「アラキドン酸カスケードを止める」薬剤

先ほど、紹介したNSAIDsやステロイド性抗炎症薬は、アラキドン酸カスケードを止める事で炎症の反応をストップさせます。違いといえば、NSAIDsは、反応の途中段階でストップさせるのに対して、ステロイド性抗炎症薬は、反応のスタート時点をストップさせてしまうために効果も強くなっています。

 

可塑性って?

可塑性という言葉を聞いたことがあるでしょうか?聞き慣れない言葉であると思うので、簡単に説明しておきましょう。可塑性は「強い力が加わった時に、形が変わってしまって元に戻らないような性質」の事を言います。

イメージ出来ないよって場合には、プラスティックの下敷きを曲げて遊んでいたらある時に折れてしまったというような状況をイメージしてみて下さい。繰り返しの強い刺激によって、折れて元に戻らなくなってしまったという状況に当たるのが、この可塑性という性質を表しています。

 

痛みにも可塑性がある?

さて、前置きが長くなってしまいましたが、ここが今日の本題になります。痛みに関する話題でこんな内容が上がっています。「持続的な強い痛みが長期間続くと、神経経路や神経そのものが変化してしまい、慢性痛の原因になる」

痛いのが当たり前がというように身体が学習してしまう事で、その痛みが慢性痛という形で続いていってしまうというのが、ここでのポイントになります。実際に神経が変化して、触る刺激によって、痛みを引き起こす反応が観察された例もあるようです。

 

痛み止めや湿布は可塑性を止められるかも?

さて、前述した痛みの可塑性は、こんな悪循環を引き起こしてしまうかもしれません。これは痛みの悪循環とも言い換えられる反応です。

「痛い!」→ストレス→交感神経の緊張→血管の収縮、血流の低下→局所の血流不足、酸素不足→「痛い!」→…

痛みの刺激によって、血流が低下する反応が繰り返し起こってしまう事で、グルグル痛みに関する反応が悪循環を起こしてしまうのです。ここに前述の痛みの可塑性の考え方を入れてみると…

結果は言わなくてもお分かりかと思います。痛み止めや湿布を使い、痛みそのものをコントロール出来れば、この反応にストップをかけて鎮痛、治癒への好循環のスタートを踏み出せる可能性があります。この点において、湿布や痛み止めの存在意義は大きいと思います。

 

炎症の話題、覚えていますか?

これまで、何回か「炎症」という存在は取り上げてきました。炎症は、超大事というのが、私の基本的な考え方です。この炎症を止めるような役割を担うような痛み止めや湿布に関しては積極的に使うというよりは、限定的にというのが私の考える使い方です。

痛みはどうしても不快な刺激であるために、そこから来るストレスの事も考えると完全に使わないという選択肢はないかと思います。

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木村佑介

木村 佑介(きむら ゆうすけ) H1.8.16 学歴 都立井草高校 →立教大学法学部 →東京衛生学園専門学校 東洋医療総合学科(主席) 資格 あん摩マッサージ指圧師 はり師 きゅう師 スポーツ歴 中学〜陸上競技 高校時代:3年次、200m、400mにて関東大会出場 大学時代:4年次、関東インカレ(2部)4×400mリレー優勝 「現在の職業についた理由」 高校時代まで、怪我とはまったくの無縁で、記録も順調に伸び続けました。大学1年次も夏頃までは好調をキープ。追い風参考記録になったものの、初の100mで10秒台となる10”91をマーク。が、1年次後半に肉離れを起こして以来、ほぼ毎年怪我をしている状態になる。3年生になる頃に、先輩に紹介してもらった先生に出会い、復活し、4年次には最大の目標であった関東インカレ優勝を果たした。この先生に出会って、自分も治療家になりたいと思い、法曹志望の道を一転させて、治療家の道に。現在は、都内マッサージ院にて勤務の傍ら、師匠の元に通い、修業中。