3ヶ月の筋トレで10年分の筋肉貯金をしよう

子供の頃から健康本が大好きで、医療従事者として働いていた私は、体に関する知識はそれなりに豊富だったと思います。情報を仕入れては色々と試してもみたけれど、ずっと変わらなかったのは痩せすぎな体型でした。40代も半ばを過ぎると、これは体質だから仕方ないと諦めて、変えようという意欲も段々と失せていました。

あるきっかけで、48才でトレーナーの指導のもとでボディメイクを始め、体重を6kg増やすことが出来ました。もちろんただ太ったのではなく、筋肉もつきました。トレーニングを始める前に自分の体の写真を撮ったのですが、それを見てショックを受けました。

健康には気を使っていたし、体調も悪くなく人並みに健康なつもりでしたが、写真に写った自分の姿は、まるで痩せ衰えた老人のような印象だったのです。自分では気づかぬまま、あのまま少しずつ痩せ衰えながら年々歳をとっていたと思うと、我ながらゾッとしてきます。そんな私の実体験をもとに、『貯筋』のお話しをさせていただこうと思います。

 

筋肉量は年々減ってゆく

トレーナーさんに教わったのは、運動の習慣がないと、30歳を過ぎたあたりから筋肉量は徐々に減少してゆくということでした。筋肉量の多い大腿部では年に約1%も筋肉が落ちてゆき、その減少率は加齢に伴って段々と大きくなります。これはどのくらいの量かというと、例えば40歳で体重65キロの男性の場合だと年間で200~250gの筋肉が減るのだそうです。

ステーキ1枚分くらいありますね。これってなかなかの量ですし、しかもこれが毎年。そして歳をとるほど減少率は増えてゆきます。これってなかなか怖い現実ですよね。ある文献を見てみましたが、興味深いのは、体幹部は40代位まで筋肉量は増える傾向があるのに、脚の筋肉は20代から早くも減少しはじめ、体幹や上肢の筋肉より減少率は大きいことです。

また、女性よりも筋肉量の多い男性の方が筋肉の減少率は大きいそうです。民族や国などによって研究結果も違うようですが、これは上肢や体幹に比べて、脚の筋肉をあまり使わなくなっていることの影響が考えられそうです。

 参考文献 日本人筋肉量の加齢による特徴(老年医学会雑誌第47巻1号)

個人差もあるので一概にこうなるとは言えないですが、歳をとってゆけば体は老化してゆき、新陳代謝も徐々に落ちてゆくのは自然なことだと思います。言えることは人間の生理機能として、使わないと機能は落ちてゆくということです。筋肉も使わないとどんどん衰えて萎縮してゆきます。

生活習慣によって筋肉が衰えるスピードは抑えることも出来るし、運動しなければ落ちるばかりにもなります。そして、正しいトレーニングをすれば、筋肉を増やすことも出来るのです。

 

筋肉貯金をしよう

意外かもしれないですが、筋トレは初心者であるほど筋肉がつきやすいと言われています。なぜなら運動に慣れていない分だけ、軽い運動であっても筋肉を発達させる刺激になりやすいのです。筋トレ1年以内のビギナーでは、1か月の筋トレで体重の1~1.5%の筋肉が増えると言われています。

3か月の筋トレをすることで、体重50キロの人が1.5~2キロの筋肉を増やせるとすれば、40代以降の筋肉の減少率を考えると、減少するであろう約10年分の筋肉を蓄えられることになります。

年齢と共に緩やかに筋肉量は落ちていくのは仕方がないとしても、運動習慣をつくることでその減少を少なくすることも出来るし、ある時期にちゃんと負荷をかけた筋トレをして継続をすれば、筋肉量の高い状態を長くキープすることも出来るのです。

 

筋肉量が多いことのメリット

歳をとって太りやすくなるのは、代謝が落ちることが原因のひとつです。動かずに寝ているだけで体が消費するエネルギーを基礎代謝といいますが、基礎代謝の約2割は筋肉によって消費されます。体の筋肉量が1キロ減ると、一日の基礎代謝は約50キロカロリー少なくなると言われています。数値としては少ないですが、歳をとって筋肉量が落ちると同じだけ食べていても、段々と太りやすくなってしまう理由のひとつです。

逆に、筋肉量を増やすことができれば、同じ生活をしていてもその分消費カロリーが増えるので、痩せやすい体になります。ただし、その値はそれ程大きくはないので、実際には筋トレを通して活動的な身体になるという生活習慣の影響が大きいでしょう。

筋力がつくと動くことが苦でなくなってアクティブになり、疲れにくくなって仕事のパフォーマンスも上がります。そして筋肉は糖分の貯蔵場所でもあり、血糖値の調節もしてくれると言われており、筋肉量が多ければそれだけ食事による血糖値の急上昇を抑えてくれます。

また、病気になったときには、体は自分の筋肉を削って対処するのだそうです。従って筋肉量が多い人の方が、病気への抵抗力も強いと考えられます。自分で体に向き合って体の見た目も良くすることが出来ると、鏡を見るのも楽しみになりますし、よく分からない自信もつきます(笑)。はっきり言っていいことばかりです。

 

私の筋トレ体験

私の場合はやせ過ぎだったので、目標は『筋肉をつけて逞しい体になる』ということでした。私の実際の写真です。左からトレーニング開始時、3か月後、1年後です。

3か月で見た目でもはっきり変化がわかるようになり、半年でさらに筋肉がついてきました。トレーナーの指導は3か月間で、後は同じメニューを継続したり、自分で試行錯誤しながらのトレーニングでした。その後もトレーナーに適切なメニューを作ってもらっていれば、筋肉の発達はもっと早かっただろうと思います。

ただ、3か月という期間である程度の結果を出すことが出来て、その経験が自信とやる気につながり、トレーニングの基礎知識もその間にしっかり学ぶことが出来ました。この経験は自分の大きな財産になりました。やったことは、

  • 柔軟運動(ストレッチ)を毎日2~3回
  • 筋トレを週に2~3回
  • 一日に体重(kg)×1.5(g)以上のタンパク質を摂る

基本的にはこれだけです。一つずつ簡単に解説してゆきますね。

 

柔軟運動

トレーナーさんに教わったのは、体のパフォーマンスの土台(基礎)になるのは柔軟性だということです。筋トレを始める前に、まずはある程度のレベルまで柔軟性を上げることが先決です。そして、ストレッチをやると一時的に体の可動域は拡がるのですが、翌日にはまた戻ってしまいます。

それを何度も繰り返すことによって、筋肉内にある『筋紡錘』という【伸び過ぎ防止センサー】の働きを少しずつ書き換えてゆくイメージです。柔軟性を上げるためには頻度が大事なので、毎日最低でも朝と夜、暇をみつけては何度でもストレッチをやりましょう。

硬いところを一か所だけ集中的に伸ばすのではなく、足首から肩まで、全身を伸ばすようにするのがコツです。1セットで終わらせず、可能なら2セット、3セット繰り返すとストレッチの効果が明らかに違うのが実感できるはずです。

 

筋トレ

柔軟性は頻度、筋トレは強度が大事です。負荷をかけて一度筋肉の繊維を壊し、休息して回復した後はもっと強くなるイメージです。ポイントは回復のための時間が必要なので、毎日続けてやらないこと。その代り、へばって立ち上がれないくらいまで、しっかり負荷をかけること。

筋トレをこれから始めるという人は、自重トレーニングで十分効果が出せるので、必ずしもウェイトを使う必要はありません。筋トレはしっかり3セットやるのも大事なポイントです。

 

タンパク質

タンパク質は筋肉だけではなく、体の大半を作る材料になります。タンパク源となるのは、肉、魚、卵、豆など。一度はタンパク質の含有量を計算して、一日に体重1キロあたり1.5~2グラムは摂るようにします。動物性食品を摂る時は、野菜も忘れずに食べましょう。

筋トレの直後は筋肉への吸収が活発になるそうなので、プロテインも活用するのがおすすめです。

 

どんなトレーニングが必要か

トレーニングをこれから始めようという人は、まずは柔軟運動から。それだけでも、運動していなかった人にとっては十分に運動になります。慣れてきたら、筋トレを加えてゆきます。背中などの大きな筋肉を鍛えるような運動をやりましょう。

同じメニューを続けていると、段々慣れてきて少しずつラクに出来るようになってきます。そうしたら、強度や回数を上げてやります。ここが大きなポイントです。一人で取り組む場合、ここが甘くなりがちですが、過負荷をしっかりかけ続けることが出来れば、短期間で効果がしっかり現れてきます。

筋力はすぐに強くなってきますが、見た目の変化は1~2か月遅れて、少しずつ現れるということを心に留めておきましょう。そして貯筋という視点からも、脚のトレーニングは必ず入れましょう。なぜなら、加齢によって減少するのは圧倒的に脚の筋肉だからです。

脚は体の筋肉量の半分近くを占めているので、脚を鍛えることは全身を鍛えることにつながり、心肺機能も高められます。歩くのにはもちろん、何をするにも脚の筋肉は重要です。貯筋は脚からですね。

 

最後に

運動が嫌いなわけではないし、むしろ色んな体操や運動療法を積極的に学んだり、実践もしたりしてきました。学生時代は空手もやっていました。それでもなぜ逞しい体になれなかったのかというと、ただ強い運動さえすればいいと思っていたからだと思います。

ボディメイクを始めて知ったのは、トレーニング・トライアングルといわれている考え方です。運動・栄養・休息、この3つの要素をまとめてトレーニングと捉えるものです。効果がなかなか出ないのであれば、ひっかかっているところは何かをよく考えて、そこを改善してゆくことが大事なポイントだと思います。

疲れやすくなったとか、体力がなくなったとか、そんな風に歳を感じるのは、もしかしたら脚の筋肉が衰えているのが原因ではないでしょうか。そして、私が病院やデイサービスでの勤務経験から感じたことですが、体に問題を抱えてこうした施設に来られる高齢者の方は、殆どの方が脚の筋肉が衰えて痩せ細ってしまっているのです。

そして、結局は『筋力を強くすることが必要です』と言われて、運動をすすめられるのです。歩くのが困難になって困ってから運動を始めるのもいいのですが、健康で歩けている今のうちから運動をした方が、遥かに効果的です。

一度本格的にトレーニングをして、トレーニング(運動・栄養・睡眠)の習慣を身につけて筋肉をつけてしまえば、体を高いパフォーマンスの状態で長く維持することが出来るはずです。取り組むのはそれなりに本腰を入れる必要はありますが、それ以上の価値があるということを体験から実感しています。

筋トレって、ただ筋肉をつけるという効果や意味ばかりじゃなくて、やってみると実はすごく深い意義や価値があります。それをぜひ、感じていただきたいと思います。

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ABOUTこの記事をかいた人

中川 一成

長いこと体のケアに関わる仕事に携わってきました。心身共に虚弱コンプレックスを抱えてきた経験から体と心の健康には人一倍関心があります。 趣味は素敵なカフェを見つけること。珈琲を淹れること。