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前回の記事で低体温について解説してきました。低体温は糖質である「砂糖」の摂取によって引き起こされるということです。今回の記事では、体温をあげるための「熱」が体のエネルギーとしてどのように生み出されるのかについて解説していきます。
前回の記事>>【連載】0から3ヶ月で健康になれる食事法 第13話:砂糖と低体温の関係性
栄養素がエネルギーに変わるまで
私たちが食事をするのは、体が活動するためのエネルギーを得るためです。エネルギーを生み出し続けないと、体の様々な機能を動かすことができなくなり、死んでしまうのです。そのため、食事から栄養を吸収して活動するエネルギーに変換することが、体の中で日常的に行われています。
では、このようなエネルギーを生み出す流れは具体的にどのように行われているのでしょうか?以下、その流れについてわかりやすく解説していきます。
なぜ私たちは食事をするのか:ATP(体のエネルギー)を作り出す
私たちが食事をするのは、体の活動エネルギーとなる「ATP(アデノシン三リン酸)」という物質を生み出し、エネルギーを蓄えておくためです。ATPとは、体が様々な活動をするためのエネルギーのことになります。体が「熱」を生み出したり、筋肉を動かしたりと様々なエネルギーになるのです。
このATPを使って体は活動を続けるため、食事を摂ってATPというエネルギーを蓄えておかなければなりません。では、このようなATPはどのような栄養素からどのような流れで生み出されているのでしょうか?
それについては、次に解説していきます。
「糖質」「脂質」「タンパク質」もATPを生み出す流れは同じ
三大栄養素である「糖質(炭水化物)」「脂質」「タンパク質」のうち、主に「糖質」と「脂質」がエネルギー源として利用されます。「タンパク質」だけは体のエネルギー源になるというよりも、主に体を構成する成分となる(体の材料として使われる)ため、エネルギー源としては期待できません。
そこで、次は「糖質」と「脂質」がATP(エネルギー)をどのくらい生み出すのかを解説していきます。
糖質がエネルギーを生み出す流れ
糖質がATPという体の活動エネルギーを生み出すためには、大きく分けて3つのステップが必要になります。それは、次のようなものです。
①解糖系(糖質の場合)
②クエン酸回路
③電子伝達系
このような3つのステップでATPが生み出されます。
糖質が生み出すエネルギー量:最大38個のATP
お米やパン、めん類などの「糖質」を食べたとき、どのくらいのエネルギーが生み出されるのでしょうか?まとめると、次の通りです。
ステップ | 生み出されるATPの数 |
①解糖系 | 2個 |
②クエン酸回路(TCA回路) | 2個 |
③電子伝達系 | 34個 |
合計 | 38個 |
糖質は最大38個のATPが取り出されることがわかりました。生み出されるATPの数が多ければ多いほど、取り出されたエネルギー量が多いことになります。ただ、これだけでは、ATPの数が多いのか少ないのかがわかりません。そこで次は、「脂質」から生み出されるATPの数も見てみたいと思います。
脂質がエネルギーを生み出す流れ
脂質がエネルギー(ATP)を生み出す流れは次のとおりです。
①β(ベータ)酸化前にATPを消費
②β酸化
③クエン酸回路
このようにしてATPが生み出されます。
脂質が生み出すエネルギー量:129個のATP
それでは、「脂質」が生み出すエネルギー量はどのくらいなのでしょうか?
脂質は「脂肪酸」と「グリセロール」という栄養素に分解することができますが、このうち、脂肪酸の種類によって、生み出されるATPの数は変わっていきます。今回はその脂肪酸の一種である「パルミチン酸」を例に挙げてどのくらいのATPが生産されるか解説したいと思います。
パルミチン酸の場合、まず、①のステップで2個のATPが消費されます。つまり、この時点でATPは-2です。この2個のATPが消費されたあと、②のステップであるβ酸化で35個のATPが生産されます。したがって、ここまでのATP生産量は 35 – 2 = 33 。よって、33個のATPが生み出されました。次に③のクエン酸回路では、96個のATPが生み出されます。
脂質により取り出されるATPの量まとめ
よって、生み出されたATPの量をまとめると、次のようになります。
ステップ | 生み出されるATPの数 |
①β酸化前のATP消費 | -2個 |
②β酸化 | 35個 |
③クエン酸回路 | 96個 |
合計 | 129個 |
このように、脂質(パルミチン酸)から、129個のATPが取り出されることがわかりました。
糖質と脂質から生み出されるATPの数を比較
上記のように糖質、脂質、それぞれから取り出されるエネルギーの量(ATPの数)がわかりました。まとめると、糖質が38個、脂質が129個のATPを生み出すことができることがわかります。脂質は糖質の3倍ほどのエネルギーを生み出しているのです。このように考えると、糖質から生み出されるエネルギー量が少ないことがわかります。
まとめ
今回は体の活動エネルギーであるATPをどのように生み出しているのかについて解説してきました。生み出されるATPの量は、エネルギーに変換する栄養素によって変わります。糖質よりも脂質の方がエネルギーをたくさん取り出すことができるのです。
前回の連載では、低体温は砂糖(糖質)が原因であるとしました。これは、糖質から生み出されるエネルギー(ATP)の量が少ないからです。上述したように、ATPは熱を産み出すエネルギーにもなります。低体温を防いだり、体の活動エネルギーをたくさん生み出すためにも、糖質は控えた方が良いでしょう。
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