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皆様、ワインはお好きですか?
私はお酒全般大好きですが、ワインもよく飲みます。
20代の時に5年間ほどドイツに住んでいたことが、やはり日常的にワインを飲むようになった1つのきっかけではありました。
ドイツと言えばビールが有名ですが、ドイツワインも同じく有名です。
ドイツは赤ワイン作りの北限と言われることもあり白ワインの方が多いですが、ヨーロッパにいるとフランス、イタリア、スペインなどなど…。
欧州各国をはじめ、アフリカ、南米、オセアニアなど世界中のワインがお手ごろな価格で手に入ります。
日本でも近年低価格のワインが続々と発売されるなど、ワインはより身近なものになっています。
またペットボトルや、大容量ボックスタイプの種類も増え、ソムリエナイフ無しで気軽に楽しむことができるようになりました。
そうなってくると気になるのが、そう、健康との関係です。
アルコールの過剰摂取は当然問題ですが、さて、そもそもワインを飲むことは健康に取って良いことなのでしょうか?
ここでは赤ワインと白ワインの健康効果について、いくつかの観点で整理していきたいと思います。
ワインが健康に良いと言われているワケ
お酒の中で、ワインほど健康との関係が取りざたされるものは他に無いのではないでしょうか?
ワインという飲み物が日本人の生活に入り込んでくるにつれて、なかば都市伝説的に色々な情報が溢れていきました。
- 赤ワインに含まれるポリフェノールというやつが体にいいらしい
- ワインはカロリーが高くて太るらしい
- 発酵食品だから胃腸にいいらしい
- 安価で粗悪なワインを飲むと頭痛を起こしやすいらしい
などなど。
単にワインが体に良いということであればドイツ人はもっと長生きしそうですが、ドイツ人の平均寿命は約81.1歳と、日本の約83.8歳(ともに2015年)より低くなっています。
総じて、1日にグラス1杯くらいならなんとなく体に良いんだろうな(酒は百薬の長とか言うし)、と片づけてしまえばそれまでですが、一体ワインの何が、健康にどのような効果をもたらすのでしょうか?
赤ワインは果実丸ごとの栄養素がたっぷり!
赤ワインは、カベルネ・ソーヴィニョンやメルローといった黒ブドウを、果皮と種子も含めて破砕し、酵母を入れてアルコール発酵させたものです。
従って、皮や種に含まれる成分も丸ごと取り込んでいるので、より健康に良い要素が含まれているということが言えます。
赤ワインの健康効果を語る上で欠かせないキーワードが「ポリフェノール」です。
このポリフェノールについては別記事「ポリフェノールと健康の美味しい関係」で掘り下げたいと思います。
ここでは、赤ワインの持つ主な健康効果について触れたいと思います。
ポリフェノールで健康になる3つの理由
ポリフェノールを簡単に説明すると植物の苦味や色素の成分のことで、自然界には5,000種類以上あると言われています。
飲料ではコーヒー、食品ではチョコレート、ブルーベリー、ザクロ、トマトなどがあります。
こういった食品からポリフェノールを摂取することも可能ですが、ワインからポリフェノールを摂取した場合、食品からの摂取に比べ吸収率が2倍程度高いのです。
1,【疾病予防:抗酸化作用でガン予防】
ポリフェノールには強い抗酸化作用があり、
- 動脈硬化予防
- ガン予防
などといった効果があると言われています。
動脈硬化は、悪玉コレステロール(LDL)が過剰になると起こりやすくなります。
ただしただLDLが多いといけないというわけではなく、活性酸素によりLDLが酸化することにより動脈硬化が引き起こされるようになります。
適量の赤ワインはこの活性酸素を除去する働きがあるのです。
また、赤ワインには善玉コレステロール(HDL)の増加、血栓の防止などの働きもあるため、心臓病や脳卒中などの疾病の予防にも効果があると言われています。
2,【美容効果:腸内環境を整え脂肪燃焼】
赤ワインには脂肪燃焼効果、腸内環境を整える効果があり美容にも良いとされています。
前述したようにワインは発酵という製造工程を経ていますので、ヨーグルトやチーズ同様発酵食品といえます。
「腸内フローラ」という単語を昨今よく耳にしませんか?
この腸内フローラというのは、腸内細菌叢とも呼ばれ、腸内に生息する善玉菌や悪玉菌、日和見菌などの生態系の事を指します。
赤ワインにはこの腸内フローラのバランスを整える作用があり、それによる具体的な恩恵としては、便秘の解消、エイジングケアなどがあげられます。
3【老化防止:脳の老化防止、肌のアンチエイジング】
強い抗酸化作用により、アンチエイジング、特に肌や脳の老化防止に効果があるとされています。
抗酸化物質には体の老化だけではなく、認知症の原因となる脳内物質を抑制することが分かっており、脳の機能改善にも有効とされています。
白ワインは赤ワインとは別物!体に必要不可欠なミネラルが豊富
白ワインの原料はシャルドネなどの白ブドウです。
製造工程は、皮も種も一緒に発酵させる赤ワインと違い、ブドウの実を絞った果汁をアルコール発酵させます。
白ワインの健康効果の特徴はミネラルバランスの良さです。
白ワインに含まれるミネラルの種類とその効果には以下のようなものがあります。
【カリウム:老廃物を排出するデトックス効果】
バナナなどにも多く含まれるミネラルです。
カリウムは利尿作用が強く余分な老廃物などを排出する為、デトックス効果があります。
ナトリウム(塩分)の吸収を抑制し、排せつを促すことで、血圧を下げる働きをします。
またむくみ防止にも効果があると言われているので、お酒を飲んだ翌日のむくみが気になる人にはおすすめです。
【マグネシウム・カルシウム:骨や歯を丈夫にする】
白ワインにはマグネシウムとカルシウムが同程度含まれています。
ご存知の通りカルシウムには骨を丈夫にしてくれる働きがありますが、マグネシウムにはカルシウム量を適切に保つ働きがあります。
サプリメントでマグネシウムとカルシウムがセットになっていることが多いのはそういう理由もあります。
そのほか、赤ワインに比べると含有量が少ないものの、ポリフェノールが含まれるため、抗酸化作用による健康効果も十分に望めます。
ワインが健康に良いとされるもう1つの理由
ワインの主原料はブドウですが、ワインはブドウの栄養分をほとんど失うことなく取り込んでいます。
更にそれだけでなく、同量のポリフェノールやミネラルを食品から摂取した場合、人が吸収できるのは摂取した量の半分程度ですが、ワインで摂取した場合はほとんど余すことなく吸収できるといわれています。
ワインが健康にいいと言われるのは、単に良い働きをする成分が含まれているというだけでなく、その吸収効率の良さにも理由があったようです。
これだけはやめて!ワインを飲む上での注意するべき4つのポイント
さてそんな健康効果の高いと言われるワインですが、どんな物事にも少なからず負の側面というのがあります。
注意すべきことについていくつか挙げていきます。
1,【糖質】
ダイエットに気を使うお酒好きの方は、お酒の種類と太りやすさの関係を気にすると思います。
「焼酎やウィスキーは蒸留酒だから太りにくい」というフレーズもよく耳にしますね。
そもそもアルコールのカロリーはエンプティカロリーと呼ばれ、栄養分がほとんどなく、体内に蓄積されません。
その上、蒸留酒の場合はその製造工程により糖質をほとんど含みません。
焼酎やウィスキーが太りにくいと言われるのはこれらが理由となります。
一方ワインはというと、100mlあたり約1.5gの糖質を含みます。
これはビールの100mlあたり約3gと比べると少ない量と言えますが、それでもしっかりと糖質を含んでいるので、飲みすぎれば当然ダイエットにはよくありませんね。
2,【アルコール過剰摂取】
ワインに限った話ではありませんね。
厚生労働省のHPによると、
通常のアルコール代謝能を有する日本人においては「節度ある適度な飲酒」として、1日平均純アルコールで約20g程度である旨の知識を普及する。
とのことです。
この量はワイン約200mlに相当し、ワイングラス約1.5杯程度です。
1日ワイン1杯くらいなら、という通説はここでも正しそうですね。
休肝日も週2日くらい取ると良いでしょう。
3,【酸化防止剤】
昨今では酸化防止剤不使用を大々的にうたったワインも数多くあります。
酸化防止剤は実際にはほとんどのワインに使用されており、ボトルの裏に「亜硫酸塩」として記載されています。
この亜硫酸塩には、雑菌の繁殖を防ぐ効果、酸化によるワインの劣化を防ぐ効果があり、ワインの味と香りを保つ役割を担っています。
酸化防止剤の健康被害への懸念が噂され、一部では頭痛を引き起こすなどと言われることもありましたが、明確な因果関係は示されていません。
頭痛に関しても現在では、酸化防止剤のせいではなくヒスタミンなどの物質に起因するという説の方が有力のようです。
日本の食品衛生法上の基準では、酸化防止を目的とした亜硫酸塩の使用基準は0.35g/kg未満となっています。
この基準は、使用が認められている量であれば、長年にわたり日常的にワインを飲んでも健康に害を及ぼさない、というものです。
4,【歯の黄ばみ】
私はそこまで大量に飲まないので経験はありませんが、赤ワインは歯に色素が付着しやすいため、飲んだ後の歯磨きをおろそかにすると、歯が黄ばむことがあると言われています。
これもワインに限った話ではありませんが、食事の後にはちゃんと歯を磨きましょう。
栄養素が多いがワインの飲みすぎには注意!:まとめ
いかがだったでしょうか?
この記事では安直にワインは健康に良いから飲みましょうと促進するわけでもなく、飲みすぎると良くないのでほどほどにしましょうと啓蒙するのが目的というわけでもありません。
世の中アルコールで身を滅ぼす人が本当に多くいます。
私も1人のお酒好きとして、ある程度の知識を踏まえ、分別をもって文化的に、そして楽しく美味しく飲んでいきたいと思っています。
そういった気持ちがこの記事のモチベーションとなりました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
お時間が許せば別記事「ポリフェノールと健康の美味しい関係」もご一読いただけると幸いです。