40代、50代の方なら誰でも発症するかもしれない五十肩。
以前、五十肩の原因と予防法について紹介させていただきました。
すでに記事をご覧の方には繰り返しになりますが、五十肩の原因は主に下記の2つ。
- 加齢に伴う肩の関節、筋肉、腱に起こる変化
- 姿勢や生活習慣などに起因する血液循環の悪化
事前に予防できれば何よりですが、発症してしまった場合にはそれ相応の対処が必要になります。
この記事では五十肩の状態を期分けして、それぞれの対処法を紹介していきます。
五十肩の症状と対処法は3期に分類される
五十肩は症状の長さに個人差はあるものの、発症してからある程度決まった経過をたどります。
大きく分けて、
- 急性期
- 慢性期
- 回復期
の3期に分類されます。
3期のうちどの症状であるかによって、「安静」と「運動」のどちらに重点をおいた処置を行うかが変わってきます。
それぞれの症状の特徴は以下のようになります。
五十肩第1期:【急性期】
ある日突然、片方の肩周辺に痛みや痺れを覚えたらそこから急性期の始まりです。
期間は短くて数日、長くて数週間ほどです。
急性期は肩関節を動かすことはできますが、動かすたびに強い痛みを感じます。
また肩に炎症を起こしてるので、動かしていなくても痛かったり肩周辺に熱を感じたりします。
五十肩第2期:【慢性期】
慢性期は急性期に比べ、痛みは治まってきます。
その一方、肩関節が動かしにくくなってきて、無理に動かすと痛みを感じることがあります。
痛みが軽くなるにつれて肩の可動範囲が狭くなってくる時期で、通常は半年程度続きます。
五十肩第3期:【回復期】
回復期になると痛みはだいぶ治まり、また肩関節も徐々に動かしやすくなってきます。
期間は通常1年と言われますが、完全には回復しない場合もあります。
回復の度合いは個人差や、どのような対処を取ってきたかなどにも関係します。
五十肩第1期:【急性期】の対処法
発症後、数日から数週間続く急性期。
肩の痛みだけでなく、「ついに自分にも来てしまったか」という精神的ショックもあるでしょう。
無理は絶対に禁物です。
五十肩【急性期】の対処法1.安静
急性期の対処の原則は「安静」です。
炎症を起こしているので、無理に動かさず痛みが過ぎゆくのを待ちます。
五十肩の予防や対処としてストレッチを行うことがありますが、急性期には逆効果となってしまいます。
五十肩【急性期】の対処法2.冷やす
痛みとともに肩が熱を持っている場合は、一時的に氷水で冷やすなどの処置を取ります。
炎症を起こしているときに患部を温めるのはNGで、湿布などの外用薬で対処する場合も冷やすのが一般的です。
五十肩【急性期】の対処法3.痛みによっては受診も
痛みが強い場合、受診するかどうか悩まれるかもしれません。
腰痛や膝痛などでもそうですが、初めて遭遇する症状で、痛みが強い場合は整形外科を受診してみることをおすすめします。
私は腰痛と膝痛に加えて首痛もありますが、結局どれも一度は受診をしています。
どれも骨格や姿勢などに起因する一般的な関節痛でしたが、レントゲンを撮り医師の見解を聞くことで、自分の骨格のクセや、今後気を付けるべきことなど、得られる情報は少なくありませんでした。
また受診することで消炎鎮痛薬などで痛みの緩和も適切にできるので、日常生活に支障がある場合などはやはり受診すべきでしょう。
五十肩第2期:【慢性期】の対処法
慢性期は痛みが軽減する一方、肩が上げにくくなってきます。
この時期の対処の方針は、大きく分けて下記の2点になります。
- 肩を温めてケアする
- 徐々に肩関節を動かし、可動範囲を広げる
以下でそれぞれ詳しくご説明していきます。
五十肩【慢性期】の対処法1.温めてケア
急性期の炎症に対しては冷やしてケアしましたが、慢性期に入ったら逆に冷やさないように注意しましょう。
肩が冷えると痛みがぶり返すことがあるため、
- 入浴時には湯船にしっかり浸かって温める
- 就寝時には布団をちゃんと掛けて冷えないようにする
など毎日の習慣が重要になります。
慢性期の期間は半年程度とされています。
この間は特に、使い捨てカイロを使ったり、ショールやカーディガンを羽織るなど、肩を冷やさないことを意識する習慣を身に付けましょう。
五十肩【慢性期】の対処法2.徐々に肩関節を動かす
可動範囲を広げるためには、徐々に肩関節を動かす運動をしていく必要がありますが、痛みが出るようであれば無理のない範囲で行いましょう。
高い負荷をかけたり、痛みを我慢して動かすのではなく、まずは単に「動かす」という程度から始めて、徐々に軽い負荷をかけたり、動かす範囲を広げていきます。
この時期に行う運動として代表的なものに、「コッドマン体操」というのがあります。
コッドマン体操は、痛い方の腕を振り子のように振ることと、その際にアイロン程度のおもりを持つことから、別名「振り子運動」とも「アイロン体操」とも呼ばれます。
コッドマン体操のやり方
出典元:Shin Toizume
やり方は以下のようになります。
- 痛くないほうの手を机などにつき、前かがみになる
- 痛い方の手に1~1.5kg程度のおもり(アイロンや水を入れたペットボトルなど)を持って下に垂らす
- 上体を揺らすことで、痛い方の腕を前後に振る
- 痛い方の腕を同様に左右にも振る
- 最後に円を描くように腕を回す
腕を振る時に「腕を動かす」のではなく、膝を使って体を揺らすことで自然に腕が振れるようにすることがポイントです。
五十肩第3期:【回復期】の対処法
回復期は肩関節の可動域が戻ってきて動かしやすくなってくる時期です。
従って対処の方向性としては、いかに低下した肩の筋肉と可動域と元通りに近づけるか、ということになります。
痛みが無くなっていれば、慢性期よりさらに積極的にストレッチやトレーニングに取り組んでいきましょう。
五十肩【回復期】の対処法1.ストレッチ
回復期には肩もある程度上がるようになってきているので、より可動域を広げたストレッチが可能になります。
こちらの動画で紹介されているストレッチは、可動域を少しずつ広げることができるのでおすすめです。
出典元:Shin Toizume
ストレッチや体操を行うときに気をつけたいことが何点かあります。
- 呼吸を止めず、あくまで動作はゆっくり
- 痛みを我慢してまでおこなわず、気持ちよいと感じる範囲にとどめる
- 少しずつでもいいので、毎日継続的に行うこと
痛みのある時期を過ぎると、何もしなくても可動域が戻り、腕が上げられるようになることもあります。
無理に運動して逆効果になってしまっては勿体ありません。
五十肩【回復期】の対処法2.適度な筋力強化
痛みが引き、可動域も戻ってきたら筋力強化も行いましょう。
「油断禁物!四十肩、五十肩は早いうちから予防しよう」で予防法として適度な筋トレをご紹介していますが、この回復期にもおすすめです。
やり方はとても簡単。
- 水を満たしたペットボトル(1リットル程度)を両手に持つ
- ペットボトルを肩付近に構え、交互に真上に持ち上げる
15~20回程度繰り返す - 両腕を下ろした状態から、腕を伸ばしたままペットボトルを真横に水平位置にくるまで持ち上げる
10~15回程度繰り返す - 3を、今度は横ではなく正面の水平位置まで持ち上げる
これも10~15回程度繰り返す - 3で持ち上げた位置と、4で持ち上げた位置の間でペットボトルを水平移動させる
10回程度繰り返す
これを2,3セット繰り返します。
この筋トレが無理なくできるようになってきたら、さらに負荷のあるダンベル運動や、ジムの筋トレ機器を利用するのも効果的です。
五十肩【回復期】の対処法3.改善のない場合は再度受診も
ストレッチや体操をしているにもかかわらず、
- 可動域の改善が見られない
- いつまで経っても腕が上げられない
という場合には、整形外科を再度受診してみたほうが良いかもしれません。
場合によっては、理学療法士による専門的なリハビリが必要になるケースもあります。
3期からなる五十肩はその症状に適した対処法を!
五十肩の対処法について、急性期、慢性期、回復期に分けて紹介しました。
重要なポイントだけをおさらいすると、
- 急性期・・・肩を冷やしとにかく安静を優先。炎症が治まるのをじっと待つ。
- 慢性期・・・温めながら少しずつ肩を動かして可動域を確保。でもまだ無理せず、痛みを我慢してまで動かさない。
- 回復期・・・積極的にストレッチや体操をして回復を促進させる。
余談ですが、五十肩は英語では「Frozen Shoulder」と言います。
直訳すると「凍った(固まった)肩」ということになりますね。
五十肩という名称は全く症状の説明になっていないので、Frozen Shoulderのほうがしっくりくる気もします。
ただ四十肩とか五十肩という表現も、何とも(私も含めた)中年の悲哀がこもっていて私は悪くないと思います。
それではお大事に。
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