糖質制限食に興味を持っても、栄養が不足するのではないかと心配するのはよくあることです。糖質制限食では、現代に生きる私たちがよく食べているお米やパン、めん類などの主食(糖質)を制限します。そのため、「活動のためのエネルギーが足らなくなるのでは?」と疑問を持つのも当然のことです。
ただ、実際には糖質を制限したところで、体のエネルギーが不足するということはありません。なぜなら、糖質の摂取量が少なくなったとしても、私たちの体にはそれに対処する機能が備わっているためです。
この記事では、糖質の摂取量を制限したとき、私たちの体でどのようなことが起きているのかを解説していきます。この記事を読むことで、体脂肪が落ちる仕組みがわかります。
前回の記事>>【連載】0から3ヶ月で健康になれる食事法 第4話:現代人の糖質摂取量と抑えるべき糖質摂取量
体が痩せる仕組み(体脂肪が使われる仕組み)
ダイエットをするためには、体脂肪を減らすことが大切です。では、どのようにすれば体脂肪を減らすことができるのでしょうか?
これを知るには、まず、私たちの体から体脂肪が減っていく仕組みを知ることが重要です。
体脂肪燃焼の仕組み:糖新生とは?
体脂肪の燃焼は、どのような仕組みで引き起こされるのでしょうか?
その答えが、「糖新生」と呼ばれる現象にあります。
「糖新生」とは、体脂肪や筋肉を分解して「ブドウ糖」と呼ばれる栄養素を作り出す体の機能のことです。「ブドウ糖」とは、体の細胞を動かすエネルギーになる栄養素のことで、お米やパンなどの炭水化物を分解したときにできる栄養素でもあります。
「糖新生」は体に蓄えられた体脂肪やタンパク質を「ブドウ糖」に変えることで、体のエネルギーとして使うことができるのです。その結果、体脂肪を分解して使われた「ブドウ糖」の分だけ、体脂肪は燃焼されることになります。
では、どのような状態になると、この「糖新生」が活発に行われるのでしょうか?これについては、次のようになると、「糖新生」が活発に行われるようになります。
血糖値が下がると「糖新生」が活発に行われる
血糖値が下がると体脂肪燃焼となる「糖新生」が活発に行われます。これは、血糖値を上げるために、血液中に足りない分のブドウ糖を体脂肪や筋肉などを分解して作り出そうとするためです。
例えば、血糖値が下がると、「アドレナリン」や「グルカゴン」といった血糖値を上昇させるホルモンが分泌されます。これらのホルモンは体脂肪などの体に貯蔵されたエネルギーを分解して、「ブドウ糖」を作り出すのです。つまり、「糖新生」が行われたことになります。
このように、血糖値が下がったとき、活発に「糖新生」が行われるようになります。血液中のブドウ糖の量を増やすために「糖新生」が活発に行われるようになるのです。
次は、糖新生を活発に行われるようにするために、血糖値を下げる方法について解説していきます。
糖質を制限すると血糖値が下がる
「糖質」を制限することで血液中のブドウ糖の量を少なくすることができます。なぜなら、「糖質」には多くのブドウ糖が含まれているからです。単純に、摂取するブドウ糖の量が減れば、血液中に流れるブドウ糖の量が少なくなります。
例えば、白米でお茶碗1杯には、55gの「糖質」が含まれています。1日に摂取するべき糖質の量は60g以内とされているため、お茶碗1杯のご飯でも摂取する糖質の量は多いものです。
このようなご飯などの炭水化物は、食べると体の中で炭水化物は分解され、「ブドウ糖」になっていきます。この「ブドウ糖」は、その後、小腸で吸収されて血液中に流れていきます。このとき、摂取した「糖質」の量が多ければ多いほど、血液中に流れる「ブドウ糖」の量も多くなるものです。
ただし、「糖質」の一種であるショ糖が含まれるチョコレートなどの「甘いもの」は、糖の量が少なくてもすぐに血液中に流れる性質を持っており、少量でも血糖値が大きく上がってしまいます。このように、炭水化物を普段通りの量で食べたり、甘いものを少量食べただけでも血糖値が上昇してしまいます。「糖質」を食べると、どうしても血糖値は上昇してしまうのです。
ただ、反対にこのような炭水化物や甘いものを制限すれば、血糖値の上昇を防ぐことができます。
例えば、豚肉や鶏肉などの糖質があまり含まれていない食品を食べても、血糖値の上昇はあまり起こりません。このような肉類は糖質が少ないので、食べたとしても血液中に流れる「ブドウ糖」の量が少ないのです。したがって、糖質が少ない食品を食べても、血糖値は上がりにくくなります。
このように、「糖質」を制限することによって、血液中に流れる「ブドウ糖」の量を減らすことができます。糖質の少ない肉や野菜などの食品を食べることによって、血糖値の上昇を防ぐことができるのです。
まとめ
体脂肪は、「糖新生」によって燃焼されていきます。体脂肪をブドウ糖に替え、ブドウ糖がエネルギーとして使われることで、燃焼されるのです。このような「糖新生」は血糖値が低いときに活発に行われます。体が、通常の血糖値を保とうとするため、「糖新生」によって生み出されたブドウ糖を血液中に流そうとするのです。
血糖値を下げるには、糖質を制限することが重要です。糖質を制限することで、血液中に流れるブドウ糖の量を抑えることができます。
そのため、体脂肪を減らすには糖質を制限することが大切なのです。
第1話【連載】0から3ヶ月で健康になれる食事法 第1話:肉中心と野菜中心の食事法はどちらが健康に良いのか?
第2話【連載】0から3ヶ月で健康になれる食事法 第2話:肉中心の食事法~糖質制限食とは~
第3話【連載】0から3ヶ月で健康になれる食事法 第3話:太る仕組みと理論
第4話【連載】0から3ヶ月で健康になれる食事法 第4話:現代人の糖質摂取量と抑えるべき糖質摂取量
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