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【連載】管理栄養士の和田宏美が日本人の健康状態を紐解く

こんにちは!
管理栄養士の和田宏美です。

今、健康ですか?と聞かれて「はい、とっても!」と胸を張って言える人は、とても素敵ですね。

今回は、長寿大国であり、食べたいときに食べたいものが、自由に手に入れられる環境にいる私たちの健康状態を、様々なデータや数値から読み解いていきます。

 

日本人の平均寿命は年々記録を更新中!

健康をあらわす一つの指標となるのが寿命です。

寿命には、平均寿命と健康寿命の2種類があるのをご存知でしたか?

平均寿命は0歳のときの平均余命(あと何年生きることができるかの平均を示したもの)を示すものです。

一方で、健康寿命は健康上の問題がない状態で毎日の生活を送ることができる期間を示します。
この2つの指標でポイントとなるのが、“元気で長生きできる期間”です。

つまり、平均寿命と健康寿命の差が小さければ小さいほど、ピンピンコロリ(病気に悩まず元気に長生きする)の人生に近づくというわけです。

同じ毎日を送るであれば、寝たきりの時間が多いより、アクティブに動く時間が多いほうが幸せですよね。
日本人の平均寿命は、平成27年厚生労働省の調べによると男性が80.79歳、女性が87.05歳であり、男女ともに継続して過去の平均寿命の記録を更新しています。

日本人の平均寿命がこれほど伸びているのにはどのような理由が考えられるのでしょうか。

 

管理栄養士の和田宏美は、寿命延伸のカギは魚にあると考える!

健康状態を左右するものには、遺伝のほか、個々の生活習慣(食生活、運動、喫煙、飲酒、休養など)、ストレスといった外部環境要因があります。
ここで興味深いデータをご紹介します。

平成19年農林水産省の調べによると、1日当たりの食用魚介類の摂取量は世界トップとなっています。

こちらに出ている各国の魚介類の消費量と平均寿命の関係をみる同調査では、魚介類を多く食べている国ほど平均寿命が長くなる傾向がありました。

魚は、良質たんぱく質の宝庫です。

イワシやサバといった青背の魚には、DHA・EPAと呼ばれる中性脂肪を溶かし血栓ができにくくする働きのある栄養素が多く含まれています。

更に、これらはアレルギー症状の改善やうつ病の緩和、認知症の予防にも効果があるとされています。

これらのことから、魚介類が頻繁に食卓にならぶ和食の存在が健康を保つうえでの大きなポイントになっているということが考えられます。
みなさんはどれくらいの頻度で魚を食べていますか?
“そういえばいつ食べたか思い出せない・・”という方は、何かルールを決めてみてはいかがでしょうか。

例えば、昼食は魚メニューの選べるお店に行く、1日のなかで必ず1食は魚を取り入れる、朝食には鮭を食べる、といった方法です。

ちょっとした行動目標を決めておくと、無意識に摂る食材の偏りを防ぐことができます。

 

管理栄養士の和田宏美が教える30万円損しない方法

寿命と健康でいられる期間は同じになることが理想ですが、そうとはいえない現状があります。
平成26年版厚生労働白書によると、平均寿命と健康寿命の差は男性で約9年、女性で約13年と報告されています。

この差が開くということは、日常生活を送るうえで何らかの支障がでている状況であるため、医療費や介護費の負担を軽減するためにも差が縮まることが理想です。

この問題は高齢者に限りません。年を重ねるまででも、“なんとなく疲れて仕事がはかどらない”“体調を崩しやすくて元気でいられない”といったような不調を抱えて、本来発揮されるべきパフォーマンスが出せていないプレゼンティーイズム(疾病就業)も問題になっています。

経済産業省が発表している健康経営の推進に向けた取組のなかでは、何らかの健康関連のリスクがあることで、損失コストが1.4倍(1人あたり30万円程度の損失)だと記しています。

この損失をできるだけ小さくするためにも、意識的に魚を食べる習慣を付けることは、大事になってきます。

魚の摂取量が増えることで、平均寿命も延びますが健康寿命も延びると、和田宏美は考えています。

というのも、青背の魚にはDHA・EPAと呼ばれる中性脂肪を溶かし血栓ができにくくなったり、アレルギー症状の改善やうつ病の緩和、認知症の予防にも効果があるとされています。

これらの働きにより、未然に良質な健康状態を損なうことを防いでいます。

 

まとめ

今回は日本人の健康状態についてお伝えしました。世界でもトップクラスの平均寿命の記録をもつ日本人ですが、これから大切なのは平均寿命と健康寿命の差を縮めることです。

元気で長生きするためには、病気になる一歩手前にある不調を取り除くことが大切です。
ということで次回は、不調のお悩みの1つである、疲れやすい身体の状態を改善するための食事ポイントをお伝えします。お楽しみに!

 

《参考文献》
・厚生労働省「平成27年簡易生命表の概況」
・水産庁「1人当たり食用魚介類供給量上位10か国」
・経済産業省「健康経営の推進に向けた取組」

第2話【連載】管理栄養士の和田宏美が教える「食事で疲労なく元気な体になる方法」
第3話【連載】料理初心者でも安心!簡単に自炊をスタートさせ継続させるコツ
第4話【連載】管理栄養士の和田宏美が教える健康な食生活を送るための7つのオキテ

ABOUT ME
和田宏美
和田宏美
関わる人の本物の笑顔を引き出すことを大きな喜びとしているフリーランスの管理栄養士。健康栄養セミナーの講師やダイエットトレーナー等で活動中。自身の寮生活、実家通い、ルームシェア、一人暮らしの経験も生かした、毎日の生活に取り入れやすく、心も身体も元気になれる食や生活習慣のアドバイスを行っている。