今回と次回の投稿では、【姿勢から見るセルフケアのポイント】について、お話ししていきたいと思います。
さて、今回取り上げる姿勢には特徴的な名前が付いています。
それが【上部交差性症候群(じょうぶこうさせいしょうこうぐん)】という姿勢です。
いきなり難しい名前が出てきてしまいましたが、【肩こり】【首こり】【頭痛】などに関係のある姿勢となっていますので、そういった症状でお悩みの方に是非お読み頂きたいと思います。
上部交差性症候群とは?
パソコンやスマホなどの電子機器が発達したことによって、現代人に非常に多く見られるようになってきた姿勢の事を指します。
以下の写真で簡単に解説してみましょう。
(医道の日本社 図解姿勢検査法より抜粋)
引用元:図解 姿勢検査法
著:新関真人D.C.
写真の矢印が×印のようにクロスされているのがお分かりかと思います。
硬く緊張している筋肉群と、逆に弱くなってしまっている筋肉群の位置関係がこの姿勢の名前の由来になっています。
簡単に言うと、猫背の姿勢で、頭が前に出てしまっている状態と言えます。
問題点は?
まず、以下の画像をご覧下さい。
引用元:図解 姿勢検査法
著:新関真人D.C.
点線で示されているのが、理想的な頭のラインになっています。
先ほど挙げた状態にある人は、頭が前に出てしまっているために、首や肩の筋肉に余計な負荷をかけて、頭を支えている状態になってしまっています。
こういった状態から出てくる問題が【肩コリ】【首コリ】【頭痛】といった症状です。
対象になる筋肉は?
まず緊張して硬さが出てしまっている筋肉群を挙げてみましょう。
・後頭下筋群(こうとうかきん)
・僧帽筋(そうぼうきん)
・胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)
・肩甲挙筋(けんこうきょきん)
・大胸筋(だいきょうきん)
・小胸筋(しょうきょうきん)
気付いた方もいらっしゃるかと思いますが、首や肩の筋肉だけでなく、胸の方の筋肉群も含まれています。
ということは、セルフケアには【前後のケア】が必要という事になります。
セルフケアの方法は?
今回は首と、前胸部(胸周り)のストレッチもご紹介します。
・首のストレッチ
頭をやや斜め前に向かって倒していきます。
この時、伸ばしている方の肩を意識的に下げるようにすると、よりストレッチ感が増していきます。
・胸のストレッチ
壁や柱を使って、前側の筋肉をストレッチしていきます。
手を置く位置、肘の角度で伸びる所が若干変わっていきます。
対象になっている筋肉は非常に広い部分に付いているので、それを網羅する意味でも重要になります。
<指先を後ろに向ける場合>
<指先を上に向ける場合>
<指先を下に向ける場合>
これらのストレッチ法は以前、ご紹介したストレッチポールでの背骨のケアと組み合わせて頂くと非常に効果的です。
トレーニングでもセルフケア
今回問題となっている姿勢では、働きが弱くなってしまっている筋肉も存在しています。
特に問題となるのが、肩甲骨の間あたりの筋肉群です。
これらの筋肉群をうまく働かせてあげることも、セルフケアのポイントになり得ます。
これらの筋肉のメインの働きは【肩甲骨を内側に寄せていくこと】なので、意識的にこの動きを行ってみるのもオススメです。
歩いている際に、少し意識してみると素敵な姿勢に近づけるかもしれませんよ。
次回は、骨盤周りをメインにみていきたいと思います。
これまで配信中のセルフケア&知識の記事もどうぞ一緒にご覧ください。
第1話【 連載】マッサージ師が感じた健康作りへの近道とは!?
第2話【連載】マッサージ師が教える血流を良くするための知識と運動方法〜背骨編〜
第3話【連載】マッサージ師が教える血流を良くする生活上のコツ4つ
第4話【連載】治療の専門家マッサージ師が教える血流と痛み・炎症との関係がわかる基礎知識