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「膝痛を改善、予防するには膝まわりの筋トレをするといいと言うけど痛くてできない」
というジレンマに陥っている人も少なくないと思います。
膝痛には、
- スポーツによる膝の外側、内側、お皿の下などの炎症や損傷
- 加齢により筋肉や軟骨が弱くなったことで生じる膝関節の痛み
などがあり、痛みの原因や部位を挙げていくと非常に多岐にわたります。
症状の詳細にかかわらず、膝痛を抱えていると膝関節に負担をかけるようなトレーニングというのはなかなかできません。
しかし膝に負担をかけなくても、膝まわりをはじめ下半身の筋肉を鍛えることはできるのです。
そんな膝痛をお持ちの方に向けて、膝への負担をかけずに下半身を鍛える方法を紹介します。
- 下半身を鍛えたいけど、故障やケガでランジやスクワットができない
- 加齢による膝の痛みを改善したいけど、負荷の高いトレーニングは痛くてちょっと無理
- 膝痛を予防、改善する方法を知りたい
以上のような方は、ぜひこの記事をご一読いただきたいと思います。
なぜ下半身の筋肉を鍛えることが必要なのか?
具体的な方法の前に、なぜ膝まわりを始めとした下半身の筋肉を鍛える必要があるのかについて、考えてみたいと思います。
膝痛の原因には、膝関節そのものだけではなく、足の裏から腰にかけての、下半身全体の構造が大きく関わっています。
代表的な登場人物としては、
- 大腿四頭筋
- ハムストリング
- 膝蓋骨(膝の皿)
- 膝蓋腱
- 脛骨(スネ)
- 足首
- 足裏の筋肉
などがあります。
出典元:腰の痛み全解説
腰から足にかけて、上に挙げたような骨や筋肉、腱は直線的につながっています。
例えば膝蓋骨と大腿四頭筋はつながっていて、膝蓋骨とスネの脛骨は膝蓋腱と呼ばれる皿の下にある腱を介してつながっています。
こうした腰から膝、足首にかけての一連の骨や筋肉、腱が正しくまっすぐに動作できていれば膝の痛みは起きにくいのです。
一方で、太ももとスネのずれなどにより、まっすぐに膝の曲げ伸ばしができていないと痛みを生じることになります。
膝を曲げたり伸ばしたりするのは太ももの筋肉である大腿四頭筋と、裏側にあるハムストリングです。
従ってここの筋肉を鍛えることは膝痛の予防や改善に大きな意味を持ちます。
この筋肉が弱っていると膝関節が不安定になり痛みが生じる原因となりますが、鍛えることで
- 膝関節が安定
- 老化やすり減った軟骨のサポート
につながるためです。
また太ももの筋肉だけではなく、足首や足裏の筋肉、おしり(臀部)の筋肉なども、膝の曲げ伸ばしをまっすぐ行うために必要とされます。
膝に負担がかからない5つの下半身筋トレーニング方法
では具体的に、膝に負担をかけずに下半身の各部を鍛える筋トレ方法を紹介していきます。
膝に負担の少ない筋トレ方法1.スクワットのやり方を見直してみる
「膝が痛いからスクワットができない」
と思われている方は、まず一度、スクワットのやり方を見直してみていただきたいと思います。
スクワットは大腿筋やハムストリングスを鍛える代表的な方法です。
本来これらの筋肉に負荷をかけるのが目的なので、膝関節に大きな負荷がかかってしまう場合は、やり方が間違っている可能性があります。
スクワットで膝に負担が大きいと感じる方は、膝を曲げたときに膝が足のつま先よりも前に出ていませんか?
そのように膝が前に出るフォームでスクワットをやると、膝関節に体重のほとんどがかかることになります。
膝を曲げていく際に、腰よりも足首を先に曲げてしまうと、膝が前に出てしまいます。
足首を先に曲げるのではなく股関節を先に曲げるように意識してスクワットをしてみましょう。そうすると膝が前に突き出るのではなく、お尻が後ろに突き出るようなフォームになると思います。
ちょうど椅子に腰かける時のようなイメージですね。
やりやすい方法としては、
- 実際に椅子を用意
- そこに座る時のような動作で腰を下ろしていき、腰かける直前で止める
- この動作とまっすぐに立つ動作を繰り返す
こうすることで膝に負担をかけずにスクワットができますよ。
椅子があることで腰を先に曲げるフォームが自然とでき、また膝を曲げすぎて負担をかけることもないからです。
ただし、正しいフォームで行ったとしても膝への負担をゼロにはできないので、やはり痛みが出るという方は決して無理をしないでください。
膝に負担の少ない筋トレ方法2.レッグカールとレッグエクステンション
ジムなどにある器具を使用した筋トレです。
スクワットのように地面に足をつけたトレーニングは、どうしても重力による膝関節への負荷を完全には払しょくできません。
レッグカールやレッグエクステンションのような器具を使ったトレーニングであれば、体重の負荷がない状態で目的の部位だけを鍛えられるので、膝痛の予防や改善に適しています。
- レッグカール:太もも裏側のハムストリングを鍛えるトレーニング
- レッグエクステンション:太もも前側の大腿四頭筋を鍛えるトレーニング
正しい膝関節の動作には表裏の筋肉のバランスも大事です。
どちらかだけをやるのではなく、両方を行うことでバランスの良い筋肉をつけましょう。
膝に負担の少ない筋トレ方法3.サイクリング
自転車を漕ぐことも、膝への過度な負担なく下半身の筋力を鍛えるのに適した方法です。
外を自転車で走るのもいいですが、ジムのエアロバイクを利用するのがおすすめ。
エアロバイクであれば
- 負荷を思い通りにコントロールできるので過負荷になることを避けられる
- 信号待ちなどもないのでトレーニングの効率が良い
などのメリットがあります。
筋力アップを目的とするのであれば、少し重めの負荷をかけるのが良いですね。
持久力アップやダイエット目的の場合、軽い負荷で回転数を上げて漕ぐのが一般的です。
その場合はペダルの回転数(ジムのエアロバイクには通常回転数の表示があります)を70~90[rpm]で漕ぎます。
一方、筋力アップ目的であれば、負荷を感じながら50~70[rpm]くらいの回転数で回せる程度の負荷設定で漕ぐのが良いでしょう。
膝に負担の少ない筋トレ方法4.プールでの水中歩行
膝への負担を極力おさえた方法として、水中歩行があります。
膝痛や腰痛などを中心とした、故障やケガからのリハビリ方法としても用いられています。
おすすめする理由は、浮力により重力の負荷を軽減する効果だけではありません。
水中歩行をしたことがある方はわかると思いますが、水の中で歩く場合、つま先にしっかり力をかけて床を蹴り、脚をまっすぐに前に出さなければなかなか思うように進めません。
この方法は時間がかかってしまうのが難点ではありますが、必要な筋肉を鍛え、正しい動作を身に付けることができるという点で、非常に効果的な方法だと言えます。
膝に負担の少ない筋トレ方法5.足裏の筋肉を鍛える
意外かもしれませんが、足裏の筋肉を鍛えることも膝痛対策を始め下半身の強化として大きなメリットがあります。
足裏の筋肉、つまり「土踏まず」の役割は主に
- クッション・バネ
- バランスをとる
- 足指の働きを良くする
です。
土踏まずがきちんとアーチを描いていると足裏に力が入り、足腰が安定します。
逆に足裏の筋肉が弱くてアーチが崩れてしまうと、足裏に力が入り辛く安定感がないため膝や腰、足首のトラブルの原因に。
足裏を鍛える方法としては、床に置いたタオルを引き寄せるトレーニングがあります。
やり方はいたって簡単。
- 体育座りで床に座り、つま先の下にタオルの端が来るようにしてタオルを床に置く
- あとはひたすら足先を使ってタオルを手前方向に手繰り寄せる
この手繰り寄せる動作によって足裏を鍛えるので、ちゃんと足裏の筋肉が使えていることを意識しながら実施してください。
土踏まずを作ってきれいなアーチを描くためのトレーニングとして有名な方法です。
【膝蓋骨のストレッチ】で柔軟性を保とう
筋トレだけでなく、膝蓋骨のストレッチも取り入れると効果的です。
膝蓋骨がスムーズに動かないと痛みが出やすくなるので、ストレッチで柔軟性を保ちましょう。
膝蓋骨のストレッチ方法は簡単です。
膝蓋骨、つまり膝のお皿を上下左右に軽く押すだけです。
床に座って足を伸ばして、力を抜いた状態で行ってください。
軽く押すだけで通常ぐりぐり動くと思うので、強い力をかける必要はありません。
膝にやさしいトレーニングで下半身を強化しましょう
いかがでしたか?
「膝痛の予防や改善をしたいけど、下半身を鍛えるには膝が痛いし…」
というジレンマは確かに一見ややこしい問題です。
ですが、今回紹介したように膝へ負担をかけない方法で筋力アップを図っていけば、膝痛の改善だけでなく、予防やほかのトラブルの回避にもつなげることができます。
今回挙げたような方法は、
というものでした。
全てが誰にでも適したトレーニングというわけにはいかないと思います。
まずは少しずつ試してみて、ご自身の症状や筋力にあった方法を探してみてくださいね。
老いは自然の摂理。でも快適・健康に歳を重ねるために知っておこう!